※「しずかちゃんとパパ」は、2022年3月からNHKBSで放送された作品。
多くの方の期待の声を受け、2023年7月、NHK総合での再放送が決定しました!
父は生まれつき耳が聞こえなかった。
耳の聞こえる娘は、父のことが大好きだった。
やがて、成長した娘には恋人ができ・・・
親離れ子離れのてんまつを
明るく温かく描くホームコメディー。
二人の間で、
ごく自然に取り交わされる会話は、手話!!
2022年新春、 このドラマに命を吹き込むため、
手話指導チームが結成されました!!
手話指導チーム
手話翻訳・指導
江副 悟史(えぞえ さとし)
日本ろう者劇団代表。ろう者俳優。
【舞台出演】
日本ろう者劇団「手話狂言」(国立能楽堂)
「武士道の心」(シアターX/主演)
男組「男組7」(主要メンバー)ほか。
【映像出演】
NHKハートネット「謎解きドラマ Lの招待状」
NHKハートネット「手話で楽しむみんなの番組」
東京2020オリンピック開会式ダイジェストろう通訳ほか。
手話翻訳・指導
はせ 亜美(はせ あみ)
手話通訳士2804。地域登録認定手話通訳者。
社会人向け専門学校上級コース(手話通訳者養成講座)講師などを経て、現在、様々な手話通訳の現場に立ち、 翻訳活動などを続けている。
ろう者の両親の元に生まれ、家族の友人知人など手話とろうの世界に囲まれて育った。 CODA(コーダ:聞こえない親を持つ聞こえる子供)。
手話指導
三浦 寿(みうら ひさし)
手話パフォーマンスきいろぐみデフキャスト。
ろう者俳優。
【舞台出演】
手話パフォーマンスきいろぐみ手話ミュージカル
「〜戦後70年!25567日の奇跡!!」
「違います!?〜それは誓いの言葉だった!!」
「真夏のメリークリスマス」
「手話とらの星」等、各ステージ主演。
【映像出演】
MBS開局60周年ドラマ「花嫁の父」
テレビ朝日「ボーイズ・オン・ザ・ラン」
「救急救命士 牧田さおり」
他に、ろう者役として出演。
手話コーディネート
南 瑠霞 (みなみ るるか)
手話のエンターテイメントに特化する総合カンパニー
手話あいらんど代表。
手話パフォーマンスきいろぐみ代表。手話パフォーマー。
手話通訳士600。
【手話指導】
ドラマ「オレンジデイズ」
ハリウッド映画「バベル」、アニメ映画「聲の形」。
Hey!Say!JUMP「上を向いて歩こう」、AKB48「離れていても」
ももいろクローバーZ佐々木彩夏
声優アイドルイヤホンズ「はじめまして」など。
【映像出演】
映画「総理の夫」
NHK「LIFE!〜人生に捧げるコント/『宇宙人総理』手話通訳士」
JT-webCM「スワン党VSスイマス党」
Netflix「全裸監督2」大事なお知らせ映像
webTV「手話あいらんどTVクロスカルチャー」ほか。
南 瑠霞コメント
2021年秋、プロデューサーの松原浩氏・戸倉亮爾氏が、新しい手話ドラマを作りたいと、手話あいらんどを訪れた時、彼らは全ての取材をほぼ終えていた。 ろう者の生き方、手話の在り方など、「違う!違う!」ときわめて初歩的な誤解を解くところから始めねばならないこともある映像制作の現状を超え、はるかに私たちの近くにいた。
『ろう者やその家族は、ごく当たり前に生きている。彼らは、憐れむべき弱者ではない。その自然で力強い姿を、聞こえる娘の結婚というひとり立ちを通じて描き出したい。 これは親子の愛情物語だ。』そう語る目に、本物の理解を感じ、チームの立ち上げを決めた。
今回は、もう一人、なくてはならない重要な翻訳者がいる。 それは、主役のCODA(コーダ:聞こえない親をもつ 聞こえる子ども)の女性・野々村静(吉岡里帆さん)の存在とせりふの根拠を支える人物である。
はせ亜美。静と同じく聞こえぬ両親の間に生まれ、自身の耳は聞こえている。生まれながらにして手話を授かり、その手話の中に生き、現在手話通訳士の資格も身につけ、通訳者となって活動を続けている女性だ。
はせは、このドラマの中の静そのものと言っていい。ストーリーの中の出来事に、自然に涙し憤り喜び、ありのままの手話を空中に浮かび上がらせ、そのせりふを作り上げている。
この二人に加え、今回は、ろう者 野々村純介を演じる笑福亭鶴瓶さんと雰囲気の似た、コミカルな演技で定評の、手話パフォーマンスきいろぐみデフキャスト(耳の聞こえない人生を歩み、その生き様を示す俳優)、ことぷき(三浦 寿)が手話指導に参加。
彼もまた、青森県のろう学校出身のネイティブサイナーである。
このメンバーに、想いを託したのは、 単にそれぞれの能力の素晴らしさからだけではない。
手話ドラマでは、制作者の中に手話を匠とする人材がいるケースはほとんどない。 手話指導者は、俳優の皆さんが手話を覚えたあとも、本番でのせりふの正誤の判断から、まさに思いと手が一体となっているかまで確認し、一瞬一瞬に寄り添い続けている。
日々の現場では、脚本のせりふを手話という言葉に作り上げていく翻訳、 そして指導・本番というサイクルが繰り返される。最初に本を手にした瞬間から、作品の中で命を与えられた役柄を、 ともに演じるがごとく思いがなければ、作品の完成には届かない。
絶え間ない作業の中、最後までドラマと共に生きてくれるであろうと信じ合えるメンバーが、ここにいる。
彼らの情熱が、ドラマに命を吹き込む。
その背中を見ながら、共に静と純介をこの世に送り出す仕事をさせてもらっている。
手話は一つの言語であり、私たちが音声で話す日本語同様、喜びの時も、くだらない時も、嘘をついた瞬間も、驚いた時も、大きな怒りをぶつけた時も、悲しみの時も、輝かしい思いを語るときも、それを語らう人の一部となり、魂となり、想いを伝え、心と心を結ぶものである。
静と純介を通じて、そのありのままの姿を、あなたの元にお届けできればと願っている。
2022年2月
南 瑠霞
メインの翻訳者の一人、ろう者江副悟史は、歴史的にもまた現在のろう者演劇界においてもトップを切る日本ろう者劇団代表。 和泉流狂言師三宅右近氏らとともに取り組む手話狂言の第一人者としても注目を集めている。
南とは、これまでTVドラマ「ラブレター」「ホテルコンシェルジュ」などでタッグを組むなど、さまざまな手話指導も手がける。
家族全員がろう者というデフファミリーに生まれ、豊かな日本手話を手にする江副は、ドラマの中で手話を周りの風景とからめ、生きたせりふに作り上げている。